みなさん、口を大きく開けるときに痛みや違和感を感じたり、大きく口が開かない、開けるときに音が鳴る、ということはありませんか?
それは「顎関節症」という病気のサインかもしれません。
顎関節症は、あごの関節や周りの筋肉に問題が生じ、日常の会話や食事に支障をきたすことがあります。
特に、あごを動かすと音がしたり、痛みを感じたりする場合には、顎関節症の可能性があります。
この記事では、顎関節症の原因や治療法について詳しく説明しますので、ぜひ続きを読んでみてください!
顎関節症の種類と原因
顎関節症には、いくつかのタイプがあり、それぞれ異なる原因によって引き起こされます。
どのタイプに該当するかを知ることで、適切な治療を受けるための手助けとなります。
さらに、原因を理解して日常生活での対策を講じることが、顎関節症の予防や悪化を防ぐためには大切です。
顎関節症の4つのタイプ
顎関節症には、主に4つのタイプがあり、それぞれ違った特徴と原因があります。
このタイプは、あごを動かす筋肉が緊張しているために、筋肉に痛みを生じます。
長時間の歯ぎしりや食いしばりによって、筋肉が固くなり、痛みやこわばりが感じることが多いです。
特にストレスが強いときや、緊張しているときに症状が悪化することがあります。
一般的に顎の筋肉と聞くと咬筋をイメージしやすいですが、側頭筋や胸鎖乳突筋、僧帽筋など、顎の周りの様々な筋肉に痛みを生じる可能性があります。
顎関節を支える靭帯や関節包が損傷することで、捻挫のような痛みが起こります。
このタイプでは、関節を動かすときに痛みを感じたり、口の開閉が制限されることがあります。
Ⅰ型とは異なり、筋肉ではなく顎の関節部分にピンポイントで痛みが生じます。
怪我や強い衝撃などが原因で発症することが多く、日常でのかみ違えなどの他、スポーツや事故であごを打った際に見られることもあります。
顎の関節内には関節円板というものが存在します。
正常な状態であればこの関節円板をクッションとして、顎関節が前へ滑り出る・戻る、という動きによって口を開けたり閉じたりしています。
しかし、この関節円板が正常な位置よりも前方にズレてしまった状態がⅢ型になります。
Ⅲ型はその中でも次の2つに分かれています。
①Ⅲ型-A
関節円板が前方にズレてはいますが、開口時に関節が円板を乗り越えて一時的に正しい位置になりますが、口を閉じるとまたズレた位置に戻る状態です。
円板を乗り越えていくため、口を開ける際に「ガクガク」「パキッ」という音が鳴ったり、音は鳴らなくてもガクッという感覚があります。
②Ⅲ型-B
関節円板が完全に前方へ出きってしまっていて、関節が円板を乗り越えられなくなっている状態です。
この場合は関節がひっかかってしまって動かず、口を大きく開けられない、開けようとすると痛いという症状が起こります。
長期間にわたって顎関節に過度な負担がかかると、骨がすり減ったり吸収されて変形することがあります。
このタイプは、顎関節症の中でも重度で、ジャリジャリと音がしたり、慢性的な痛みや口の開閉が非常に困難になることが特徴です。
年齢を重ねることで、関節が摩耗しやすくなるため、高齢者に多く見られます。
Ⅰ~Ⅲ型の状態が長く続くことでⅣ型を引き起こしたり、逆Ⅳ型が原因でⅠ~Ⅲ型になることもあるため、Ⅳ型単体ではなく他の型と併発する場合が多いです。
実はこの記事を書いている私も、Ⅰ型とⅣ型の顎関節症に悩む一人です。
私の場合は13年程前に歯列矯正をするとき、下顎が小さく位置が後ろにありすぎたため、歯並びだけをきれいにしても上下の歯を噛ませられない状態でした。(顎変形症)
そのため外科矯正と言って、手術で下顎の骨を切って前に出す選択をし、見た目と噛み合わせの矯正に成功しました。
しかし数年後、筋肉に引っ張られる形で下顎が元の位置(後方)に向かって力を受け、右の下顎頭が吸収されて骨が変形してしまいました。
それによって顎関節症Ⅳ型になり、更には右の下顎頭だけ吸収されたことによってかみ合わせがズレてしまい、筋肉に負荷がかかり顎関節症Ⅰ型も発症してしまいました。
顎変形症の手術のなかでも、下顎を後ろに下げた場合は後戻りはしにくいですが、私のように前に出した方は、同じように後戻りで顎関節症になってしまった方がいるかと思います。
顎関節症の主な原因
- 歯ぎしりや食いしばり
- 姿勢の悪さ
- 硬い食べ物を多く摂る
- 緊張や疲労
顎関節症は生活習慣病の1つとも言われ、さまざまな生活習慣や行動が原因で発症する場合が多いです。
特に、歯ぎしりや食いしばりといった無意識の動作が、あごに大きな負担をかけることが多いです。
これらの行動は、就寝中や何かに集中しているときに起こることがあり、これによってあごの筋肉が過剰に緊張してしまいます。
次に、姿勢の悪さも大きな要因です。
頬杖をつく癖があったり、片方のあごにばかり力を入れて噛む習慣があると、顎関節に負担がかかります。
これが長期間続くと、関節にズレや歪みが生じ、顎関節症につながることがあります。
また就寝時にいつも左右どちらか決まった方を下にして寝ているのも、同じく顎関節のズレや負担の原因になります。
また、硬い食べ物を多く摂りすぎることも原因のひとつです。
スルメやナッツのような硬い食品をよく噛むことによって、あごの筋肉や関節が疲労しやすくなり、炎症を引き起こすことがあります。
成長期の顎の発達や、成人でも筋肉を衰えさせないために、硬いものを食べることはとても大切です。
しかし、顎関節に歪みや軽度の炎症が起きている状態で硬い食べ物を噛み続けると、顎に負荷がかかり炎症を強めてしまう可能性があるので注意が必要です。
さらに、心身の緊張や疲労があごに影響を与えることもあります。
体が緊張しているときや疲れているときには、筋肉も硬くなりがちです。
またストレスによって歯ぎしりや食いしばりも起こりやすくなります。
この状態が続くと、あごの筋肉にも影響が及び、結果的に顎関節症を引き起こしやすくなります。
元々のかみ合わせが悪いなど、生活や行動とは関係がないことが原因の場合もあります。
顎関節症の治療法の種類
顎関節症の治療には、さまざまな方法があります。
症状の程度や原因に応じて、適切な治療法を選択することが重要です。
治療には、手術を伴わない方法から、外科的な処置まで幅広くあり、それぞれにメリットがあります。
ここでは、代表的な治療法についてわかりやすく説明します。
非手術的治療法
非手術的治療は、手術を行わずに症状を改善する方法です。
軽度から中等度の顎関節症の患者に広く適用されることが多いです。
マウスピースは、夜間に装着することで、無意識に行われる歯ぎしりや食いしばりによる顎への負担を軽減します。
この治療法では、あごの筋肉が緊張しにくくなるため、痛みやこわばりの症状が和らぎます。
マウスピースはオーダーメイドで作られるため、個々のあごの形にぴったりと合ったものを使用します。
また、単にクッション材として負担を減らす目的ではなく、顎にとって最適な位置で全部の歯を均等にかみ合うように精密に調整して作る、スタビレーション型スプリントというタイプのマウスピースもあります。
MASA歯科では主にこのタイプを使用した治療を行っています。
型取りをして、できてきたものをそのまま使うのではなく、全身の姿勢や顎の動きを確認しながら慎重にかみ合わせを作る必要があるため、治療時間は45~60分と長めにかかります。
理学療法では、マッサージやストレッチ、さらには電気刺激などを使って、あご周辺の筋肉の緊張をほぐします。
これにより、顎関節の可動域を改善し、日常生活での動作を楽にします。
また、正しい姿勢を保つためのエクササイズも理学療法の一環として行われ、姿勢の改善が顎関節への負担を減らす効果があります。
元々、姿勢や生活習慣、かみ合わせなどの原因があり顎関節症が起こっているため、通院時の理学療法だけではすぐに症状が再発してしまいます。
指導されたストレッチなどを、自宅でしっかり続けることがとても重要になります。
薬物療法
薬物療法は、痛みや炎症を軽減するために使用される方法です。顎関節症の症状に応じて、適切な薬が処方されます。
痛みが強い場合、鎮痛剤や抗炎症薬が処方されることがあります。
これらの薬は、顎関節や周囲の筋肉に発生している炎症を抑え、痛みを軽減する効果があります。
症状が軽減するまでの一時的な対処として使われますが、根本的な原因を治療するためには他の方法と併用されることが一般的です。
筋肉の緊張が強い場合、筋弛緩薬が使用されることがあります。
これは、筋肉を緩める効果があり、あごのこわばりを緩和します。
副作用として、眠気や吐き気が起こることがあります。
咬筋に負荷がかかり発達しすぎている場合には、ボトックス注射を打つことで、強制的に咬筋を緩める方法もありますが、保険適用外です。
ボトックスは、咬筋が小さくなることでエラの張りが解消されて小顔になることがあるため、歯科だけでなく美容クリニックなどでも施術されています。
筋弛緩薬もボトックス注射も、筋肉に作用する薬のため、Ⅰ型の顎関節症にしか効果がありません。
そして、これらはあくまで対処療法であり、薬が効いている期間しか効果がありません。その間に、生活習慣の見直しや顎のストレッチなどをしっかり行い、原因の解決を目指しましょう。
ストレスが原因で症状が悪化している場合には、抗不安薬が処方されることもあります。
ストレスの影響を軽減することで、症状の改善をサポートします。
ストレスや心理的要因が顎関節症の原因となっている場合、心身医学療法が効果的です。
リラクゼーション法や認知行動療法などを通じて、ストレスを管理し、顎の緊張を解消することが目的です。
これにより、心と体のバランスを整え、顎関節症の改善を促進します。
逆に、顎の痛みが続くことが、更なる心的ストレスを引き起こすこともありますので、別問題と捉えず、どちらもしっかりサポートしてあげると良いでしょう。
外科的治療
非手術的な治療法で改善しない場合、外科的な処置が必要になることがあります。
手術は、顎関節に深刻な問題がある場合に行われます。
パンピングマニュピレーション療法とは、顎関節に1本の注射針を刺し、関節部分を直接操作する治療です。
関節内に生理食塩水や麻酔液を注入して、それを吸引する作業を繰り返します。
これにより関節腔を広げ、関節の動きを改善します。
この処置は、関節の動きがスムーズでなくなった場合や、炎症が原因で関節内に液体がたまっている場合に行われます。
注射だけで行われるので、手術と比べて負担が少ない治療法です。
関節腔洗浄は、顎関節内に蓄積された老廃物を洗い流す治療法です。
これにより、関節の動きが改善され、痛みや炎症が軽減されます。
パンピングマニピュレーションでも関節腔の広がりにより動きの改善は期待できますが、1本の注射針で行うため洗浄力はやや不十分です。
この関節腔船上では注入用・吸引用の2本の注射針を使用することにより、より高い洗浄力が期待できます。
関節内に問題がある場合や、痛みが長期間続いている場合に実施されることが多いです。
関節鏡という内視鏡を使用し、関節内を直接観察し、必要に応じて癒着部位の剥離や洗浄を行います。
全身麻酔または局所麻酔で行われます。
注射ではなく皮膚の切開が必要で、周囲の神経を損傷するリスクなどもあるため、行われることは稀です。
まずは非手術的な治療法から
顎関節症の治療には、手術を伴わないものから、外科的治療までさまざまな方法があります。
症状の原因や程度に応じて、適切な治療法を選ぶことが大切です。
まずは、非手術的な治療法から試し、必要に応じて外科的治療を検討することで、症状の改善が期待できます。
顎関節症は、しっかりと扱っている歯科医院ばかりではありません。
「もっともシンプルな、負荷を減らす目的のマウスピースなら作れる」という医院が多いのが現実です。
よりしっかりとしたマウスピース作成や、マッサージなどの理学療法を望む場合は、顎関節症や咬合治療を専門的に扱っている歯科医院を選ぶ必要があります。
外科的な治療や、電気治療などの専門的な機械を使用した理学療法を検討する場合は、病院の口腔外科などを選択した方が良いです。
噛み合わせがズレていることが原因の場合には、顎関節症に対する治療自体を行わなくても、かみ合わせを治すことで、顎の症状も改善することがあります。
顎関節症を治療しない場合のリスクと影響
顎関節症は、初期段階では軽い痛みや違和感があるだけかもしれません。
しかし、これを放置すると、症状が悪化し、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
早めに治療を開始することが大切であり、適切なケアを怠ると、慢性的な問題に発展する可能性があります。
ここでは、治療を行わない場合にどのようなリスクや影響があるかを詳しく説明します。
放置するとどうなるか?
顎関節症を放置すると、最初は軽い症状だったものが徐々に悪化していきます。
たとえば、最初は口を開けるときに少し痛む程度だったのが、徐々に口の開閉が困難になったり、食事や会話にも影響を及ぼすようになります。
また、日常的な動作が苦痛になることもあります。
顎の動きが制限されることで、噛む動作がスムーズにできなくなり、食事を楽しめなくなることも少なくありません。
これにより、食事の質が低下し、栄養バランスが乱れる可能性もあります。
さらに、口を大きく開けられない場合、歯科治療や検査が困難になる場合もあります。
「虫歯や歯周病で奥歯に痛みが出て治療を希望しても、口が開かないために器具が奥まで入れられず、治療を受けられない」という事態になる可能性があります。
症状が進行すると、顎だけでなく、首や肩にも影響が広がることがあります。
顎の不調が原因で、全身の筋肉や関節に負担がかかり、慢性的な肩こりや頭痛が発生することがあり、生活の質に悪影響を与える可能性があります。
顎関節症が他の症状に与える影響
顎関節症は、あごだけの問題ではなく、全身に影響を及ぼす可能性があります。
たとえば、顎関節の不調が続くと、それに伴って頭痛が頻発することがあります。
これは、顎の周りの筋肉が緊張し、頭部への血流が悪くなるためです。
特に、片頭痛のような強い痛みが引き起こされることがあり、日常生活に支障をきたすことがあります。
また、顎関節症が原因で、肩こりや首の痛みが発生することもあります。
あごの動きが悪くなると、首や肩の筋肉に負担がかかり、これが慢性的なこりや痛みを引き起こします。
このような症状が続くと、姿勢が悪化し、さらに症状が悪化する悪循環に陥る可能性もあります。
実際に、「マウスピースや噛み合わせの調整などで顎の治療を行ったら、何年も悩んでいた頭痛がなくなった」という例もあります。
さらに、顎関節症は耳鳴りを引き起こすことがあります。
顎の関節が耳の近くに位置しているため、顎の異常が耳に影響を与えることがあり、耳鳴りや耳の痛みを感じることがあります。
このような症状が続くと、集中力が低下し、日常生活にストレスが増える原因となります。
早期治療の重要性
これらのリスクや影響を防ぐためには、早期に治療を開始することが重要です。
顎関節症は、初期段階で適切なケアを行うことで、症状の進行を防ぐことができます。
たとえば、マウスピースや理学療法などの非手術的な治療法は、早期に始めることで効果が高く、症状が軽度のうちに治療を行うと回復が早まることが期待されます。
一方で、症状が悪化してから治療を始めると、改善に時間がかかることがあります。
特に、顎関節の骨が変形してしまった場合や、慢性的な痛みが続いている場合は、手術が必要になることもあります。
手術が必要になる前に、できるだけ早く治療を受けることが、健康な生活を維持するためには欠かせません。
日常生活での顎関節症対策と予防法
顎関節症を予防したり、症状を軽減したりするためには、日常生活での習慣や行動を改善することが大切です。
何気ない動作が顎に負担をかけていることも多いため、まずはその原因を理解し、改善策を取り入れることが予防につながります。
ここでは、顎関節症の対策や予防法について詳しく説明します。
生活習慣の改善
日常的な生活習慣が顎関節に与える影響は大きいです。
まず、頬杖をつくことは、あごに偏った力をかけてしまい、顎関節に負担をかけます。
この動作を繰り返すことで、顎関節に歪みが生じ、症状が悪化する可能性があります。
また、片側だけで物を噛む癖も、片方のあごに負担が集中し、顎関節症を引き起こす要因となります。
食事の際には、両方のあごを使ってバランスよく噛むことを意識することが大切です。
さらに、寝ている間の歯ぎしりや食いしばりは、顎に大きな負担をかける原因となります。
これを予防するためには、マウスピース(ナイトガード)を使用することが効果的です。
ナイトガードは、寝ている間にあごを守り、無意識に行われる歯ぎしりや食いしばりによる負担を軽減してくれます。
特に、ストレスが溜まっているときには、これらの癖が強く出やすくなるため、意識的に対策を講じることが重要です。
就寝時に左右どちらかの決まった方を下にして寝る癖も、顎の歪みや、片方の顎に負担がかかる原因になります。
寝る際には、仰向けか、しっかりと寝返りをうち左右均等に向きを変えて寝るのが望ましいです。
また、「TCH(Tooth Contacting Habit)」という無意識に上下の歯を接触させる癖は、顎関節に負担をかけます。
TCHが続くと、顎に過度な圧力がかかり、痛みや疲労感を引き起こすことがあります。
TCHを改善するためには、歯と歯を離してリラックスすることを意識することが効果的です。
日中に顎を緩める習慣を身につけることで、顎関節の負担を軽減することが期待できます。
食事の工夫
食べ物の選び方も、顎関節に影響を与えます。
たとえば、スルメやナッツのような硬い食べ物を頻繁に食べると、あごの筋肉や関節に負担がかかります。
硬いものを避けて、柔らかい食材を選ぶことで、あごへの負担を減らすことができます。
また、一度に大きな口で食べ物を頬張ることも、あごに負担をかける原因となります。
食事中は、一口の量を少なくして、ゆっくりと噛むように心がけましょう。
そうすることで、あごの筋肉や関節への負担が軽減され、顎関節症の予防につながります。
顎の発達や機能低下の防止のためには、硬い食べものをしっかり噛むことが良いですが、顎関節症の症状がみられる際には、炎症を悪化させる恐れがあるため、硬いものの食べ過ぎは避けましょう。
さらに、噛むときに片側ばかりを使う癖を改善することも大切です。
片方のあごにばかり力を入れると、筋肉や関節に偏りが生じ、痛みや動きの制限を引き起こします。
できるだけ左右均等に噛むことを意識しましょう。
ストレス管理
顎関節症の原因の一つに、ストレスがあります。
ストレスが溜まると、体全体が緊張し、特にあごの筋肉が硬くなることがあります。
この緊張が続くと、あごの動きが悪くなり、痛みや違和感を感じるようになります。
ストレスを管理するためには、リラクゼーション方法を取り入れることが効果的です。
たとえば、深呼吸やストレッチ、軽い運動を行うことで、体の緊張をほぐし、リラックスすることができます。
また、趣味の時間を持つことや、十分な睡眠をとることも、ストレス軽減に役立ちます。
自分に合ったストレス管理法を見つけ、日常生活に取り入れてみましょう。
姿勢の改善
日常生活での姿勢も、顎関節に大きな影響を与えます。
特に、パソコンやスマートフォンを長時間使っているときに、首や肩が前に出てしまうことが多くあります。
この姿勢が続くと、あごにも負担がかかり、顎関節症の原因となることがあります。
正しい姿勢を保つためには、座るときに背筋を伸ばし、あごを引くように意識することが重要です。
また、1時間に一度は立ち上がって体を伸ばすなど、定期的に姿勢を見直す習慣をつけましょう。
頬杖をつく、片足に体重をかける、仕事中のデスクの配置の関係などで左右どちらかを向くこと多い、なども姿勢が歪む原因となるので、意識して避けるようにしましょう。
顎関節症の治療期間と治療後のケア
顎関節症の治療には時間がかかることが多いです。
治療の期間やその後のケア次第で、再発を防ぐことができます。
適切な治療と日常生活でのセルフケアを続けることで、顎関節症の症状を改善し、健康的な生活を送ることが可能です。
ここでは、治療期間の目安とその後に必要なケアについて詳しく説明します。
治療期間の目安
顎関節症の治療は、その原因や症状の重さによって異なります。
治療の方法も、マウスピースやリハビリ、薬物療法などさまざまです。
一般的に、軽度の症状であれば、数週間から数か月の治療期間が必要になります。
たとえば、歯ぎしりや食いしばりが原因であれば、マウスピース治療を数週間~数か月間続けることで症状が改善されることが多いです。
一方、筋肉の緊張や姿勢の悪さが原因である場合、理学療法が行われます。
理学療法にはストレッチやマッサージが含まれ、これらの施術は定期的に受けることで徐々に効果が表れます。
理学療法の期間は、通常数か月から半年程度が目安となりますが、あごの状態や生活習慣の改善により早めに症状が軽減することもあります。
もし顎関節の骨に問題がある場合や、症状が慢性的になっている場合は、より長期的な治療が必要になることがあります。
場合によっては、手術が必要となることもありますが、そのような場合でも、術後のケアが非常に重要です。
治療後の再発防止策
治療が完了しても、再発しないようにするためには、日常生活でのセルフケアが欠かせません。
まず、正しい姿勢を保つことが大切です。特に長時間座って作業をする際には、背筋を伸ばし、あごを前に突き出さないように意識しましょう。
姿勢が悪いと、あごや首、肩に負担がかかり、再び顎関節症の症状が現れる可能性があります。
また、噛み合わせのバランスも重要です。片側ばかりで噛む癖があると、顎関節に偏った負担がかかるため、左右バランスよく食べ物を噛むように心がけましょう。
食事の際に無意識に偏りがちな場合は、あごの使い方を意識することで、関節への負担を軽減することができます。
さらに、ストレス管理も再発防止に効果的です。
ストレスがたまると、歯ぎしりや食いしばりが起こりやすくなり、それが原因で顎関節に負担がかかります。
リラックスする時間を日常生活に取り入れたり、趣味の時間を大切にすることで、ストレスを軽減し、あごの緊張を防ぐことができます。
定期的な診察
治療が終了した後も、定期的な診察を受けることが推奨されます。
治療が終わっても、症状が完全に治まったとは限りません。
特に、慢性的な顎関節症だった場合、再発するリスクがあるため、専門医に定期的に診てもらうことで、早期に異常を発見することができます。
もし再び症状が現れた場合には、早めに対処することで、症状が悪化する前に治療を行うことが可能です。
また、マウスピースを使用している場合は、適切な時期に調整や交換を行う必要があります。
長期間使用すると、マウスピースが磨耗したり、歯並びが変わることでフィット感が悪くなることがあります。
定期的なメンテナンスを行うことで、治療効果を維持できます。
再発防止のための生活習慣
日常生活での生活習慣の見直しも、再発防止の重要なポイントです。
まず、食事の際には、硬いものを避け、あごに負担をかけないようにしましょう。
また、一口の量を少なくし、ゆっくりと噛むことで、あごへの負担を減らすことができます。
さらに、歯ぎしりや食いしばりを防ぐためには、睡眠中にマウスピースを使用することが効果的です。
特に、ストレスが溜まっているときは、これらの癖が強く出ることがあるため、普段からストレスを管理し、リラックスできる時間を確保することが大切です。
顎関節症治療に関するよくある質問
顎関節症に関する治療方法や受診すべき診療科について、疑問を抱く方は多いです。
特に、初めて症状を感じた場合、どのように対処すればよいのか分からないことがあるでしょう。
ここでは、顎関節症治療に関してよく寄せられる質問に対し、わかりやすく説明します。
- 顎関節症の治療を受けるべき診療科は?
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顎関節症を治療するためには、どの診療科を受診するべきか迷うことがよくあります。
顎関節症の治療は主に口腔外科や歯科、または整形外科で行われます。
口腔外科は、あごや口周りに関する問題を専門に扱っているため、特に顎関節症に適した診療科です。
歯科でも、顎関節症の診断や治療を行うことが可能です。
特に、歯の噛み合わせが原因の場合、歯科医師がマウスピースを作成してくれることが多いです。
整形外科では、関節の問題や筋肉の緊張を専門に扱っているため、あごの痛みや筋肉のこわばりが主な症状の場合には整形外科も適しています。
それぞれの診療科は、症状に応じて適切な治療法を提供してくれますので、初めにどこを受診すればよいか迷った場合は、かかりつけの医師に相談するのもよいでしょう。
- マウスピースは誰でも使えるのか?
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マウスピース治療(スプリント療法)は、顎関節症の治療法の中でも比較的軽度な症状に使用されることが多いです。
特に、歯ぎしりや食いしばりが原因で顎関節に負担がかかっている場合、寝ている間にマウスピースを装着することで、あごへの圧力を軽減します。
この治療法は、幅広い患者に適用されるため、比較的誰でも利用可能です。
しかし、顎関節症の症状が重度の場合や、骨の変形などが原因となっている場合には、マウスピースだけでは効果が不十分なことがあります。
そのようなケースでは、外科的治療や他の治療法が検討されることが一般的です。
マウスピース治療が自分に適しているかどうかは、医師や歯科医師に相談して確認することが重要です。
- 治療期間はどれくらいかかるのか?
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顎関節症の治療期間は、症状の程度や治療方法によって異なります。
一般的には、軽度の顎関節症の場合、マウスピースや理学療法を数週間から数か月にわたり続けることで、症状が改善することが多いです。
一方、慢性的な痛みや関節の変形がある場合、治療にもっと長い期間がかかることもあります。
たとえば、リハビリやマッサージ、ストレッチなどの理学療法を定期的に受けることで、数か月間かけて筋肉の緊張が和らぐケースがあります。
また、治療中に日常生活の改善が求められるため、治療が終わってもセルフケアを続けることが大切です。
再発を防ぐためにも、生活習慣を見直し、あごに負担をかけないようにする努力が必要です。
- 子どもや高齢者も治療を受けられるか?
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顎関節症は、子どもから高齢者まで幅広い年齢層で発症する可能性があります。
治療法も年齢に応じて異なります。子どもの場合、成長期にあるため、顎関節の発達を考慮した治療が必要です。
特に、歯の生え変わりや顎の成長によって、噛み合わせが変わることが原因となることがあります。
このため、成長に合わせて治療方法を調整することが求められます。
高齢者の場合、関節や筋肉が弱くなっているため、特に注意が必要です。
関節が変形しているケースや、他の病気と併発していることが多いため、全身の健康状態を考慮した治療が重要です。
リハビリやストレッチを行う場合も、無理のない範囲で進めることが大切です。
- 顎関節症は手術が必要なことがあるのか?
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顎関節症の多くは、非手術的な治療法で改善されることが一般的です。
しかし、症状が重度の場合や、顎関節の骨の変形が原因である場合には、手術が検討されることもあります。
手術は、あごの関節に溜まった老廃物を取り除いたり、関節を修正するために行われることがあります。
まとめ
顎関節症は、マウスピース治療や理学療法、薬物療法、場合によっては手術といったさまざまな治療法があります。
早期に適切な治療を受けることで、痛みや不快感を軽減し、日常生活を快適に送ることが可能です。
症状が進行する前に、専門医の診断を受け、自分に合った治療法を選ぶことが大切です。