子どもが歯磨きを嫌がることは、多くの家庭で見られる課題です。
この問題は、ただのわがままと見られがちですが、実は心理的な不安や身体的な不快感が原因になっている場合があります。
歯磨きの習慣が身につかないと、将来的に虫歯や口腔トラブルのリスクが高まる可能性があるため、早めの対策が重要です。
さらに、親がイライラしてしまうと、子どもにとって歯磨きがさらに嫌なものと感じられてしまいます。
本記事では、専門家の意見や調査データを基に、子どもが歯磨きを楽しめるようになるための具体的な方法をわかりやすく解説します。
笑顔で歯磨きできるようになるための第一歩を、一緒に探ってみましょう。
「これが困る」に対してピンポイントで役立つテクニックを紹介している、Q&Aは必見です!
子どもが歯磨きを嫌がる3つの理由
子どもが歯磨きを嫌がるのは、心理的な不安や身体的な問題、そして家庭環境など、さまざまな要因が関係しています。
本記事では、それぞれの原因を詳しく解説し、親としてどのように対応すべきかを考えるヒントを提供します。
原因を知ることで、適切な対策を見つけやすくなります。
心理的要因
子どもは、新しいものに対して不安を感じることがあります。
特に、歯ブラシが口の中に入る感覚や、歯磨き粉の味が苦手な場合、恐怖心を抱いてしまうことも少なくありません。
また、親が急かしたり怒ったりすると、歯磨きそのものが「嫌な時間」だと感じる原因になります。
親がリラックスした雰囲気で接することで、子どもの不安を和らげることができます。
さらに、歯磨きが「痛い」と感じることも心理的な抵抗を生む要因の一つです。
特に、歯が生え変わり始めた時期や、歯肉が敏感な場合は注意が必要です。
優しく声をかけながら磨くことで、安心感を与えられるでしょう。
身体的要因
歯磨きが嫌がられる理由には、身体的な問題も含まれます。
たとえば、歯ブラシの毛が硬すぎると、歯茎を刺激しすぎて痛みを伴う場合があります。
また、ブラシのサイズが子どもの口に合っていないと、奥歯や歯の裏側を磨くときに不快感を覚えることがあります。
さらに、成長段階によって歯や歯肉の状態が変化するため、適切なケアが必要です。
乳歯が生え始めた赤ちゃんには柔らかい歯ブラシを、永久歯に移行する年齢には少ししっかりしたブラシを選ぶと良いでしょう。
歯磨き粉も、子どもの好みに合わせた味を選ぶことで、楽しく磨けるようになります。
環境的要因
家庭環境や親の忙しさも、歯磨きを嫌がる原因となります。
親が忙しくて十分に時間を取れないと、子どもが「急がされている」と感じ、歯磨きに抵抗を示すことがあります。
また、家庭で歯磨きが「楽しい習慣」として位置付けられていない場合、子どもが自主的に取り組むのは難しいでしょう。
たとえば、兄弟や親が一緒に歯磨きをする時間を設けることで、子どもも「みんながやっている」と感じ、抵抗感を減らせます。
家庭全体で歯磨きを楽しい時間に変える工夫が効果的です。
これらの3つの理由を理解することで、子どもが歯磨きを嫌がる根本的な原因にアプローチできます。
それぞれの要因に合わせた対応を取り入れることで、子どもの抵抗を減らし、習慣化に繋げることができるでしょう。
年齢別アプローチ|子どもが楽しく歯磨きできる方法
子どもの年齢や成長段階に合わせて歯磨きを工夫することで、嫌がる気持ちを減らし、楽しい習慣として定着させることができます。
本記事では、0~2歳、3~5歳、6~8歳の年齢別に適した方法を紹介します。
それぞれの時期に合った取り組みをすることで、親子ともにストレスを減らしながら健康的な生活を目指せます。
0~2歳:歯ブラシに慣れる段階
赤ちゃんの時期は、歯磨き習慣の土台を作る重要な時期です。
この年齢では、まだ自分でしっかり歯を磨くことはできないため、親がサポートする必要があります。
まずは歯ブラシに慣れることを目指し、楽しく感じられる工夫をしましょう。
- 歯ブラシをおもちゃとして使う
歯ブラシをおもちゃのように持たせて、口に触れる感覚に慣れさせます。これにより、歯磨きが特別な行為ではなく日常の一部と感じられるようになります。 - 柔らかいブラシを選ぶ
赤ちゃんの歯や歯茎はとてもデリケートなので、柔らかい毛の歯ブラシを選びましょう。心地よい感覚が歯磨きへの好奇心を引き出します。 - 歯磨きソングや絵本を活用する
歯磨きをテーマにした歌や絵本を使うことで、楽しさをプラスできます。親子で一緒にリズムに合わせて磨くと、歯磨きが楽しい時間になります。 - 歯が生えてすぐの頃は、ガーゼで拭う練習から
いきなり口に歯ブラシが入ることに、抵抗感を抱く赤ちゃんも多いです。最初は指に巻き付けたガーゼで歯ぐきを拭うようにして、口に物が入ることに慣れさせましょう。
お子さんが自分で歯ブラシを持つ際には、歯ブラシが喉に刺さらないように注意が必要です。
消費者庁からも「歯ブラシがのどに刺さる事故」に関しての事例報告や注意喚起が出されています。
>> Vol.629 歯ブラシがのどに刺さる事故
お子さん本人に歯ブラシを持たせる際は、大人の隣で座った状態で持たせるよう徹底しましょう。
また、喉つき防止の歯ブラシとして、柄の部分にガードがついているものや、柄が曲がるブラシなどがあります。
それらを利用するのもよいでしょう。
3~5歳:遊びを通じた習慣化
この時期は、子どもが自分で歯を磨こうとする意欲が芽生える時期です。
一方で、飽きやすい年齢でもあるため、楽しい体験を取り入れることで歯磨きを続けやすくなります。
- キャラクター付き歯ブラシを使用する
子どもの好きなキャラクターがデザインされた歯ブラシを使うと、磨くのが楽しみになります。自分で選ばせるとさらに愛着がわきます。 - タイマーを使ったゲーム化
1分や2分のタイマーを使って、「何秒で磨けるかな?」とゲーム感覚で取り組むと、子どもが楽しく挑戦できます。時間を意識することで、しっかり磨く習慣が身につきます。 - 親子で一緒に歯磨き
子どもは親の行動を真似するのが好きです。一緒に歯磨きをすることで、「自分もやりたい」と思わせることができます。
この年齢のお子さんは、自分で磨きたい意欲が強いですが、磨くときに歯ブラシを噛んで、毛先を広げてしまうことも多いです。
毛先が開いてしまうと、汚れを落とす力が大幅に落ちてしまいます。
しかし数日で歯ブラシがダメになってしまった場合、すぐに新しいブラシを出すのは勿体ないですよね。
そんな時には、お子さん自身が磨くときには古い歯ブラシを、仕上げ磨きのときには新しい歯ブラシを使うなどして、使い分けるとよいでしょう。
6~8歳:自立心を促す時期
小学校低学年になると、自立心が芽生え、自分で何かを成し遂げる喜びを感じるようになります。
この時期には、歯磨きのスキルを伸ばしながら、習慣をしっかり定着させることがポイントです。
- チェックシートを活用する
毎日磨けたらシールを貼る「歯磨きカレンダー」を作ると、達成感が生まれます。自分で磨いた結果が見える形で確認できるため、継続しやすくなります。 - 歯科医によるアドバイスを取り入れる
定期的に歯科医院で指導を受けると、正しい磨き方を学べます。歯科医が褒めてくれることで、子どもの自信が深まります。 - 習慣の一部に組み込む
朝食後や就寝前の「日課」として歯磨きを取り入れることで、自然な行動として定着します。「忘れずにやること」を意識させるのではなく、生活の一部として組み込むことが大切です。
この時期では、子どもは大人と自分の行動を比較して考えるようになります。
例えば、フロスは乳歯のお子さんから大人まで、全年代の人に使ってほしいアイテムです。
しかし、歯科医院でフロスを使うよう指導を受けても、大人が家で使っているのを見ていないと、子どももフロスは必要でないと思ってしまいます。
大人も日頃から同じことをしているのだと、しっかり見せてあげることが大切です。
それぞれの年齢に応じた取り組みを実践することで、歯磨きは嫌な行動ではなく、楽しい習慣へと変わります。
子どもの成長に合わせた工夫を加えることで、歯の健康だけでなく、親子の絆も深まるでしょう。
歯磨きを楽しくする工夫【歯科衛生士のおすすめ】
子どもが歯磨きを楽しい時間だと感じるには、工夫が欠かせません。
無理に歯磨きをさせようとすると逆効果になることが多いため、遊び感覚を取り入れるのが効果的です。
ここでは、歯科衛生士である私が提案する、子どもが笑顔で取り組める工夫を紹介します。
楽しさをプラスすることで、自然に習慣化を目指しましょう。
視覚的アプローチ
視覚に訴える工夫は、子どもが興味を持つきっかけを作ります。
お気に入りのキャラクターや色鮮やかなデザインを取り入れることで、歯磨きのハードルを下げることができます。
- キャラクター付き歯ブラシを選ぶ
子どもの好きなアニメや動物が描かれた歯ブラシを選ぶと、磨く時間が楽しい体験に変わります。自分で選ぶと愛着が湧きやすくなります。 - 鏡の前で磨く
鏡を使って自分の歯を見ながら磨くと、歯磨きの効果を視覚的に確認でき、やる気がアップします。 - 歯磨き動画や絵本を活用
歯磨きをテーマにしたアニメや絵本を取り入れることで、楽しいイメージを持たせられます。親子で一緒に見ると、共有の時間も増えます。
習慣のゲーム化
遊びを通じて歯磨きを習慣化する方法は、多くの家庭で効果的とされています。
ゲーム感覚で取り組める工夫を取り入れると、子どもが進んで磨こうとする姿勢を引き出せます。
- タイマーを使ったチャレンジ
歯磨き専用のタイマーやアプリを使い、「タイマーが鳴るまで頑張ろう」と挑戦させることで、飽きずに楽しく続けられます。 - ポイント制を導入
1回の歯磨きごとにシールを貼ったり、得点を貯めたりする仕組みを作ると、達成感が得られます。 - 「どこまで磨けるかな?」ゲーム
奥歯や前歯など、磨く部位を指定してゲーム感覚で取り組むと、満遍なく磨く習慣が身につきます。
親子の共同作業
親と子が一緒に歯磨きをすることで、子どもに安心感を与えるとともに、楽しい時間を共有できます。
親が楽しそうに歯磨きをしている姿を見せることも効果的です。
- 一緒に歯磨きタイムを過ごす
子どもと並んで歯磨きをすることで、「みんなでやっている」という安心感を与えられます。 - 歌を歌いながら磨く
歯磨きの時間に歌を取り入れると、テンポよく楽しい雰囲気で磨けます。親が歌ってあげると、子どもも笑顔になりやすいです。 - 「仕上げ磨き」を一緒に楽しむ
親が優しく仕上げをする際に「ここがピカピカになったね!」と声をかけると、子どもも達成感を感じられます。
これらの工夫を取り入れることで、歯磨きは嫌な時間から楽しい日課へと変わります。
子どもの個性や好みに合わせた方法を試しながら、歯磨きの習慣化を目指してみましょう。
親子で笑顔になれる取り組みが、健康な歯を作る第一歩です。
歯科衛生士が推奨する歯磨き習慣の作り方
子どもの歯磨き習慣を定着させるためには、無理をせず楽しく取り組める環境を作ることが大切です。
歯科衛生士が提案する方法は、親子の協力や日々の小さな工夫を通じて、健康な歯を守る習慣を作ることを目的としています。
ここでは、日常生活に取り入れやすいアプローチを具体的に紹介します。
日課としての習慣化
歯磨きは、生活の中で自然に組み込むことで、負担を減らすことができます。
特別な時間として構えるのではなく、毎日の流れの中で習慣化を目指しましょう。
- 朝食後と就寝前に固定する
決まった時間に行うことで、子どもが「歯磨きは当たり前」と認識するようになります。家族全員で取り組むと、さらに定着しやすくなります。 - リマインダーを活用する
歯磨きのタイミングを知らせる音楽やアラームを設定すると、楽しみながら取り組めます。 - 短い時間から始める
長時間の歯磨きは子どもにとって苦痛になることもあります。最初は数十秒でも構いませんので、徐々に時間を延ばしていくと良いでしょう。
正しい磨き方を学ぶ
歯磨きの効果を最大限にするためには、適切な磨き方を身につけることが重要です。
年齢や成長段階に応じた方法を教えることで、効率的にケアができます。
- 鏡の前で確認しながら磨く
子どもが自分の歯を見ることで、「どこを磨いているのか」を理解しやすくなります。 - 順番を決めて磨く
大人も子どもも、磨き癖というものがあります。得意な場所ばかり磨いてしまい、いつも同じ場所を磨き忘れてしまいます。
順番を決めて、万遍なく磨く習慣を身につけましょう。 - 歯科医院でのアドバイスを活用
歯科衛生士による指導を受けることで、親も子どもも安心して取り組めるようになります。
定期的にチェックを受けることも習慣化の一助となります。 - 歌やリズムを取り入れる
リズムに合わせて磨くと、楽しく続けられます。
「前歯をピカピカ」「奥歯もしっかり」と声をかけることで、子どもの集中力が高まります。
褒めることでやる気を引き出す
子どもは褒められることで達成感を感じ、次も頑張ろうという気持ちが生まれます。親が積極的にポジティブなフィードバックを与えることが大切です。
- 磨いた後に具体的に褒める
「奥歯がピカピカになったね」「とても上手に磨けたね」と、結果を具体的に伝えることで達成感を強化します。 - ご褒美シールを活用
歯磨きができた日にはシールを貼るカレンダーを用意すると、モチベーションが上がります。 - 親子で笑顔になる時間を作る
磨き終わった後に「一緒にがんばれてうれしかったよ」と声をかけると、歯磨きがポジティブな体験になります。
これらの取り組みを日常に取り入れることで、子どもが楽しく歯磨きに取り組む習慣を作ることができます。
親子で協力しながら、歯の健康を守る第一歩を進めていきましょう。
歯磨きを嫌がったときのQ&A【親が困ったときの解決策】
子どもが歯磨きを嫌がると、親としてどう対応すれば良いか悩むことも多いです。
ここでは、よくある疑問に答えながら、スムーズに歯磨きを進めるためのヒントを紹介します。
どんな歯ブラシが良いのか?
適切な歯ブラシ選びは、子どもの歯磨きへの抵抗感を減らす大切なポイントです。
年齢や口のサイズに合った歯ブラシを使うと、快適に磨くことができます。
- 柔らかい毛の歯ブラシ
柔らかい毛は歯茎への刺激が少なく、痛みを感じにくくなります。特に乳幼児には、柔らかめのタイプを選ぶと良いでしょう。 - 子ども用サイズのブラシ
乳歯列期用、混合歯列期などでブラシの大きさが異なります。
説明書きに書かれた対象年齢で確認するか、歯科医院で適切なサイズを選んでもらいましょう。
また、自分磨き用は子どもが持ちやすい柄になっていますが、仕上げ磨き用ブラシは、ヘッドは子供サイズですが、柄は大人が持ちやすいサイズになっています。
区別して選んでみましょう。 - キャラクター付きのブラシ
子どもの好きなキャラクターが描かれた歯ブラシは、興味を引き出す効果があります。
嫌がったら無理にさせるべき?
無理に歯磨きをさせると、さらに嫌がることがあります。
まずは、子どもの気持ちを落ち着かせ、歯磨きを嫌なものと感じさせない工夫が必要です。
具体的な対応方法
- 少し時間を置く
一度嫌がった場合は、無理に続けず、気持ちが落ち着いてから再チャレンジしましょう。
そのまま終わりにしてしまうと、子どもは「嫌がれば歯磨きが終わる」と覚えてしまいます。
休憩をはさみながら、できるだけ最後まで終わらせるようにしましょう。 - 声かけを工夫する
「きれいに磨いたらお口がスッキリするよ」など、歯磨きの良い点を楽しく伝えます。 - 部分的に磨く
一度に全部磨こうとせず、前歯や奥歯など、少しずつ進めるのも効果的です。 - 出来たときに、写真や動画に収めておく
上手に出来たときには、写真や動画で記録してあげるのもよいでしょう。
”写真を親戚に送って、電話で褒めてもらう”
”歯磨きと関係のない時間に、写真を見せて「このとき歯磨き上手にできて、かっこよかったな」などと褒めてあげて、本人に自信を持たせる”
など、様々な活用方法があります。
短時間でも良いのか?
短時間でも毎日続けることが大切です。
特に小さな子どもには、集中力が長く続かないことを理解しながら、少しずつ時間を延ばしていくのがおすすめです。
具体的な取り組み
- タイマーを使う
歯磨き専用のタイマーで楽しく時間を計りながら取り組むと、スムーズに進みます。 - ポイント制を導入
磨けた日にはシールを貼るなどの仕組みを作ると、やる気を引き出せます。 - 褒めて終わる
「今日はここまで磨けたね」と前向きな言葉で終わると、次への意欲につながります。
仕上げ磨き中、すぐに口を閉じてしまうのはなぜ?
最初は口を大きく開けてくれるのに、すぐに閉じてしまうお子さんも多いです。
これは必ずしも歯磨きを嫌がっているとは限りません。
「唾がたまってきた」「口が疲れた」
などの理由で、うまく口を開けていられない場合もあります。
無理に続けて口を開けさせるよりも、こまめに口を閉じて休憩をとり、改めて大きく開いた状態で再開する方が、細かいところも磨きやすいです。
また、これによってお互いに、歯磨き中のストレスを感じにくくなるでしょう。
舌で邪魔をしてくるのは、どうしたらいい?
歯磨きが嫌で、わざと舌で押してくる子どももいますが、実は多くの場合、嫌で抵抗しているわけではありません。
本来、舌というのは、口のなかで食べ物を移動させたり、喉へ流し込む役割を果たしています。
そのため、口の中に異物が入ってくると、舌がそこに寄ってしまうのは自然なことです。
うまく舌を避ける裏技として、まず磨きたい歯(左)の反対側の歯(右)に指を置きます。すると、そこに舌が寄ってきます。
その隙に、磨きたい側の歯にブラシを持っていくと、ブラシは舌の下に入り込みます。
このときのポイントとして、必ず1番奥の歯の、歯茎の境目にブラシを当てます。
手前の歯に当ててしまうと、そこから奥に進もうとするときには、また舌で押されて邪魔をされてしまいます。
また、舌をよけたくても、舌の力が足りず、うまくよけられない場合もあります。実は、大人でもこういった人はいます。
子どもの場合は保険で口周りの機能訓練(MFT)を保険で受けることができるので、歯科医院で相談してみましょう。
歯ブラシ以外のグッズも使った方がいい?
歯と歯の間の汚れを落とすのには、フロスが効果的です。
特に乳歯は、永久歯よりも丸みがなく寸胴な形をしているため、歯と歯の間に汚れが溜まりやすいです。
乳歯の時期から、仕上げとして大人がフロスを使ってあげる必要があります。
小学4年生ごろを目安に、自分でもフロスを使えるよう練習を始めましょう。
また、生えかけで高さが足りない時期の6歳臼歯の溝、舌が邪魔でブラシを入れにくい下の奥歯の裏側などには、タフトブラシが効果的です。
タフトブラシは、一筆タイプの小さなブラシで、1本あると、歯ブラシによる磨き残しが劇的に減るアイテムなので、ぜひ使用してみてください。
口を引っ張るのを痛がる時は?
唇・口角は、引っ張っても伸びない部分なので、口角を引っ張ると痛がります。
しかし口の中の頬粘膜は、実は引っ張ってもあまり痛くありません。
口の入口部分である口角を引っ張ろうとせず、指を奥まで入れて、奥の頬粘膜部分を広げるように引っ張りましょう。
仕上げ磨きのときには、しっかりと頬っぺたをよけて、歯、歯茎、歯ブラシが見えている状態で磨かなければ綺麗に磨けません。
また、しっかりと見えないまま仕上げ磨きをすると、ブラシの先端が頬っぺたや歯茎に当たり、痛がる原因になります。
痛みを感じさせず、正確な仕上げ磨きを行うために、唇・頬粘膜のよけ方をマスターするとよいでしょう。
上の歯が磨けているのかわからない
上の歯は、前歯の裏側や奥歯が見えにくいため、仕上げ磨きをしていても、歯ブラシが正確に当たっているのか確認しにくいです。
仕上げ磨きをするとき、膝の上に頭をおいて寝かせていませんか?
お子さんが小さく、暴れてしまう場合には、足を使って子どもの腕をおさえるために、そのような形をとることが多いです。
しかしその角度からだと、大人からは上の歯は死角が多く、磨き残しが多くなってしまいます。
ある程度お子さんが大きくなり、動かなくなったときには、床に直接寝かせたり、ソファの上に寝かせた方がよいです。
その状態で、上の歯を磨くときには、大人は頭頂部の方向ではなく、横向きから覗き込みます。
こうするとこで、前歯の裏側や、奥歯の溝まで、しっかりと目で確認しながら、確実にブラシを当てることができます。
決まったパターンで磨いた方がよい?
磨く順番はいつも同じの方がよいです。
子どもは賢いので、大人の歯磨きパターンを覚えることが多いです。
順番がわかると、「あとどのくらいで終わるのか」が子ども自身にもわかるため、口を長時間開けてくれるなどの協力を得やすくなります。
注意が必要なのは、6歳臼歯が生えてくる、6歳ごろです。
最初のうちは、乳歯よりも奥の方に出てくるうえに、高さが低いため、意識して見ていないと、頭が出始めていることに気付けません。
しかし生えてすぐの頃は、最も虫歯になりやすい時期です。
いつものパターンの通り磨いていると、奥の6歳臼歯に気付くのが遅れる可能性があります。
6~7歳頃では、いつも通り磨く際に、目で見たり指で触ってみたりして、6歳臼歯が生えていないか、定期的にチェックするとよいでしょう。
子どもがすぐに歯ブラシを噛んでしまう
歯ブラシを噛んでしまう理由はいくつか考えられます。
- 疲れたので口を閉じたい
仕上げ磨きのとき、磨いている途中で噛み始めた場合は、疲れただけかもしれません。一度口を閉じて休憩してみましょう。 - 歯磨きが嫌で抵抗している
絵本や動画、好きなキャラクターグッズ、ゲームなどを利用して、歯磨きを楽しいものと思える工夫をしてみましょう。
「大きく口を開けるのは、大人みたいでかっこいい」「お口が力持ち」など、口を開けること自体を褒めてあげるのもよいです。 - ぼーっとしている、遊んでいる
自分磨きのとき、だらだら磨いて時間が経つと、ぼーっとしたり、歯ブラシで遊ぶ感覚でなんとなくブラシを噛んでしまいます。
鏡を見る、歯磨きの動画を見る、親子で一緒に磨くなどして、意識が逸れないようにしましょう。 - 歯の間に挟まっている食べ物を取りたい
物が挟まった食べ物をブラシでうまく取れずに、噛んで取ろうとしている場合があります。
頻繁にしている場合は、先に大人がフロスをしてあげた後に、自分磨きをするのもよいです。
これらの方法を参考に、子どもの歯磨きが楽しい習慣になるように工夫してみましょう。
歯磨きは毎日のことなので、正直「毎日たのしく、遊びながらなんて付き合ってあげられない!」と思うことも多いことでしょう。
(私も、家ではいつも思います)
しかし、ついつい急かしたり、叱ってしまうと、子どもは余計に歯磨きを嫌な時間と捉えるようになり、さらに歯磨きが難しくなる悪循環に陥ります。
家族の中で、仕上げ磨きを担当する人を順番で回すようにしたり、歯磨きが楽しくなる動画やグッズなどを駆使しながら、乗り越えていきましょう。
親子で一緒に工夫して取り組むことで、歯磨きは嫌なものではなく、健康を守る大切な時間へと変わります。
親が心がけること【長期的な視点で歯磨き習慣を作る】
歯磨きの習慣を長く続けるためには、親のサポートが欠かせません。
子どもの成長を見守りながら、無理なく楽しく取り組める環境を整えることが大切です。
ここでは、親が心がけるべきポイントを具体的に解説します。
子どもの気持ちを大切にしつつ、健康的な歯磨き習慣を目指しましょう。
褒めることの重要性
子どもは褒められることで自信を持ち、歯磨きに対する意欲が高まります。
小さな成功体験を積み重ねることで、楽しい習慣へとつなげることができます。
- 具体的に褒める
「今日は奥歯までしっかり磨けたね」や「ピカピカでかっこいいね」と、具体的な成果を伝えると効果的です。
家庭で褒めるだけでなく、親戚や、幼稚園の先生、歯科医院のスタッフなどから褒めてもらうようにするのもよいでしょう。 - 達成感を味わわせる
歯磨きが終わったら「とても頑張ったね」と伝え、次も続けたくなるよう促します。
「前は嫌がってたのに、もう奥歯も磨けるね」など、成長したことを実感させてあげる。 - ご褒美シールを使う
歯磨きを頑張った日にカレンダーにシールを貼る仕組みを作ると、子どものやる気を引き出せます。
親のストレス管理
親がリラックスしていると、子どもも安心して歯磨きに取り組めます。逆に、親がイライラしていると、子どもが歯磨きを嫌がる原因になることもあります。
- ゆとりを持った時間設定
忙しい時間帯を避け、子どもとゆっくり向き合える時間に歯磨きを行いましょう。 - 無理をしない
子どもが嫌がるときは一度休憩を入れ、気持ちが落ち着いてから再開するのがポイントです。
しかし子どもも賢いため、そこで終わりにしてしまうと、「抵抗すれば、止めてくれる」と覚えてしまいます。
あくまで休憩を入れるだけで、できるだけ毎日、最終的に決めたところまでは終わらせるよう心がけましょう。 - 一緒に楽しむ工夫をする
親も一緒に歯磨きをして「楽しい時間だ」と感じられるようにします。
途中で泣いたり嫌がったとしても、最後には「頑張ったね」「ピカピカにできたね」など、楽しい印象の言葉で終わらせるようにしましょう。
家族全体でのサポート
歯磨きは家族全員が協力して取り組むことで、自然な習慣として根付かせることができます。お互いに声を掛け合い、楽しい雰囲気を作ることが大切です。
- 親子で一緒に歯磨き
親が率先して磨く姿を見せると、子どもも「自分もやりたい」と思いやすくなります。
また、一緒に磨くことで、自分だけが「やらされている」と感じにくくなります。 - 家族で磨き方をチェック
磨き残しがないかをお互いに確認し合いながら進めると、楽しく正しく取り組めます。 - 兄弟や祖父母と一緒に磨く
家族みんなで取り組むと、一体感が生まれ、自然と習慣化しやすくなります。
これらの工夫を取り入れることで、歯磨きが楽しい習慣となり、親子の絆も深まります
焦らず、一歩ずつ進めることを心がけていきましょう。
親子で楽しむ歯磨き習慣の第一歩を踏み出そう
歯磨きが苦手な子どもも、親子で一緒に取り組むことで楽しい習慣に変えることができます。
焦らず、少しずつ前向きな経験を増やしていくことが成功の秘訣です。
楽しい雰囲気を作りながら、一緒に健康な歯を守りましょう。
歯磨きに役立つリソース集
歯磨き習慣を楽しく身につけるためには、便利な道具や楽しいコンテンツを活用するのがおすすめです。
ここでは、子どもの歯磨きがスムーズに進むようサポートしてくれるアイテムや情報を紹介します。
おすすめ製品とツール
子どもが興味を持ちやすい歯ブラシや歯磨き粉、タイマーアプリなど、歯磨きをサポートする製品を取り入れることで、嫌がらずに取り組める環境を作れます。
特に、味が美味しい歯磨き粉の使用は効果的です。
MASA歯科では、現在ミルコートをオススメしています。
歯磨き自体や、歯磨き粉が苦手なお子さんでも、「味が美味しすぎる」と率先して使ってくれる歯磨き粉です。
子どもに最適なフッ素濃度で、虫歯予防があり、それでいて天然成分を使用しながら着色予防、口臭予防効果もあります。
ストロベリーチョコ・スイカソーダ・さわやかヨーグルトの3種類の味から選ぶことができます。
親子で楽しむコンテンツ
歯磨きをテーマにした絵本やアニメ動画、ゲームアプリは、子どもに楽しいイメージを与えるのに役立ちます。
親子で一緒に利用することで、楽しい時間を共有しましょう。
YouTubeでも歯磨き動画などがたくさんありますので、活用してみてください。
楽しく歯磨きするだけでなく、順番を意識させながら歯磨きをする動画では、子どもが歯の表・裏や、前歯・奥歯などの概念を意識するきっかけになります。
また、全体の歯を磨き終わるのに、どの程度の時間がかかるのかという感覚も身につくでしょう。